■ほくろの原理
・ほくろとは
私たちがほくろと呼んでいるものを専門用語でいうと、「色素性母斑(しきそせいぼはん)」とか、「母斑細胞母斑(ぼはん)」となります。だいたい、誰もがあるほくろですが、れっきとした皮膚の病気であることには違いないのです。メラニン色素を持った細胞(母斑細胞)が増えてほくろになります。
ほくろができる原因の大半は紫外線であるといえますが、それだけでなく、ストレスや疲労の蓄積、生活習慣が乱れることによってもできることや、外部からの刺激を受けてもほくろができることがあります。締めつけるようなきつめの下着や靴などを着用することによる皮膚の摩擦、体の同じ部分に定期的に熱や重量の負荷をかけた場合など、こすれたり、当たったり、圧迫されたりする皮膚への刺激でも細胞が傷つくため、ほくろができてしまうのです。
ほくろには、先天性と後天性がありますが、特に後天性のものは成人以降になって出てくるものになりますから、これらの原因を考える時、加齢と共に紫外線を浴びる時間や皮膚への刺激を経験する機会が多くなることでできてしまうということがわかるでしょう。
女性の場合は、ホルモンの量によって左右されることもあり、妊娠中にほくろが増えたたり、濃くなったりする経験をした方がいるかもしれません。
また、良性のほくろばかりではなく、メラノサイトが悪性化して腫瘍になり、メラノーマと呼ばれる皮膚がんの一種「悪性黒色腫」である場合もあります。
■ほくろが増える原因は?
・メラノサイトとは
シミと同じように、ほくろにも紫外線が関係しています。簡単にいうと、紫外線を浴びるとメラノサイトがメラニン色素を作り出し、その過程でメラニン色素が多く作られてしまったり、皮膚の細胞に刺激を受け続けてしまったりすることによって、ほくろができてしまうのです。
紫外線を浴びると、皮膚の中でメラニンという色素が生成されるといいますが、メラニン色素を生成されている大元の場所があります。それがメラノサイトという細胞がある場所で、枝状の星の形をした細胞からメラニン色素が送り出されています。
メラノサイトは皮膚、毛根、眼、口腔や食道など、あらゆる部分にありますから、メラニン色素を生成して体を保護する役割と共に、シミと同じように全身にほくろも作ってしまうこともあると考えていて良いでしょう。
年中、休むことなく働いているメラノサイトですが、例えば、加齢やストレス、ホルモンなどによって、その働きが増減することもあります。妊婦のほくろに変化が現れたり、白髪になるなどはそのためで、紫外線の他に、加齢、ストレス、ホルモンなどの影響を頻繁に受けながら、活動を続けているのです。
・日焼けでほくろが増える
全身に存在するメラノサイトですが、一番多いのは想像通りかもしれませんが、顔になります。紫外線を受けることが最も多い皮膚だからです。手足は、手袋や長袖、ズボンの着衣で多少の保護はできますが、顔を覆うことは難しくなりますから、日焼け止め対策をしっかりして、まず紫外線の影響を少なくしていくことが、ほくろ予防の第一歩になります。
できてしまったほくろを増やしたり、濃くしたりしないためにも、紫外線によるメラノサイトの働きを活性化させないことが大事なのです。
■ほくろ対策
・適度な運動
ほくろができる要因には、加齢による要因も大いに関係があります。活性酸素の発生やターンオーバーの低下は、20代でも30代でも起きることです。若いうちから適度な運動をする習慣を心がけ、活性酸素の発生を防ぎ、ターンオーバーを活性化させることをおすすめします。
適度な運動をしていれば血流アップにつながりますので、美肌への影響だけでなく全身の代謝アップにも良い影響をもたらすことでしょう。少しずつでも、続けることが大切です。
・刺激を与えない
大人になってできる後天性ほくろの原因は、自分で作り出していることに原因があることもあります。長い生活の間には、紫外線を浴びているにもかかわらず、油断をして日焼け止め対策を怠ったり、間違った洗顔やスキンケアをしてきたり、ストレスが溜まっていたり、食生活の乱れや飲酒・喫煙などを容認していたり、マッサージをし過ぎたりと、誰もが思い当たるようなことがあるのではないでしょうか。
ほくろを作りたくない、増やしたくないならば、皮膚細胞そのものに対しても、間接的に対しても、刺激を与えないようにしましょう。
・ビタミンミネラルを摂る
やはり、肌の基本であるターンオーバーを正常に保つようにしなければ、メラニン色素を排出することは難しくなるでしょう。ほくろの原因となるメラニン色素を溜めないようにするには、肌のために食生活から気を配ることも重要です。ビタミンやミネラルを十分に摂るということも一つでしょう。
どんな食材にビタミンやミネラルが多く含まれているかというと、赤・黄ビーマン、小松菜、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリーなどの野菜、アセロラ、ゴールドキウイ、柿、パパイヤ、グレープフルーツなどの果物が代表として挙げられます。