メラニンに作用する3つの役割と成分

・メラニンの生成を抑制する成分

 

美白の基本を考えると、シミやそばかすを元から作らないことが一番シンプルな考えではないでしょうか。そうなると、予防としての美白が重要になり、美白化粧品の力を借りていくということはとても大切でしょう。

 

出回っている美白化粧品のほとんどは、メラニンの生成を抑えてくれる働きがありますから、1日でも早く使用して、メラニンの生成を抑制するようにすることをおすすめします。では、メラニンを抑える成分にはどんなものがあるのかを見ていきます。

 

1.アルブチン

コケモモや梨などの植物に含まれる成分です。黒色メラニンに変えてしまうチロシンに影響するチロシナーゼを抑えますから、結果としてメラニン生成を抑えることにもなります。α-アルブチンとβ-アルブチンがあり、ハイドロキノン誘導体としてハイドロキノンと同じ働きをしますが、ハイドロキノンに比べて効き目が穏やかな分、肌への刺激も少ない成分です。

 

2.エラグ酸

ザクロ、ラズベリー、イチゴなどに含まれる天然ポリフェノールの一つで、抗酸化作用の働きをします。アルブチン同様、肌への刺激が少なくてもチロシナーゼの働きを抑えるため、高い美白効果が期待されます。海外では、サプリメント成分としても使われています。

 

3.ルシノール

ポーラ化粧品が独自開発した医薬部外品の美白成分で、チロシナーゼを抑止します。アルブチンの数百倍もの美白効果があるといわれています。

 

4.カモミラET

花王が独自開発したカモミールから抽出された美白成分で、メラノサイトへ指令を出す情報伝達物質エンドセリンを抑制し、メラニン生成を阻害してくれます。

 

5.トラネキサム酸

美容では肝斑の治療に使用されてきましたが、メラノサイトから発する情報伝達物質プロスタグランジンなどをブロックし、メラニンの生成を抑える他、抗炎症・抗アレルギーの働きがあります。

 

6.リノール酸S

サンスターが独自開発した美白成分で、リノレックSとも呼ばれる紅花油から抽出された成分です。チロシナーゼを抑えるのではなく、分解して量を減らす働きをします。

 

7.コウジ酸

日本酒・味噌・醤油などの発酵過程でできるコウジ菌。三省製薬が独自開発した美白成分で、チロシナーゼの働きを抑える働きがあります。

 

8.プラセンタエキス

哺乳動物の胎盤から抽出される、コラーゲンやヒアルロン酸を多く含む成分で、チロシナーゼを抑制する働きや肌の新陳代謝、抗炎症作用など、多様な働きをします。

 

 

 

・メラニンの還元を促す成分

 

シミやそばかすができてしまったら、メラニンの還元(元に戻すこと)をしてくれる美白化粧品を選ぶことは一つの方法でしょう。還元美白をするためには、ハイドロキノンとビタミンC誘導体成分を配合した、美白化粧品でのアプローチが特に有効です。

 

・ハイドロキノン

肌の漂白剤ともいわれるハイドロキノンですから、かなりの効果が期待できる成分です。海外ではかなり以前からシミやそばかすの治療として使用されていましたが、日本でも長年、医療機関で使用されてきたために昔は処方箋が必要なほどでした。

 

それだけ効力があるということですが、強さはビタミンCの約10倍、βアルブチンの約100倍あるといわれています。まず、シミやそばかすの原因になるメラニンを作る元となるメラノサイトを減少させる成分として活躍してくれます。メラノサイトが減少すれば、酸化酵素のチロシナーゼの活発化も抑えられ、メラニンの生成を抑えられるというしくみになり、一番の大元の原因に、最も有効に浸透するといわれています。

 

次に、できてしまったメラニンそのものにも作用し、色を薄くしてくれる役割もしてくれます。ですから、シミやそばかすを予防する働きとできてしまってからの還元する働きを同時にしてくれる成分でもあるのです。

 

 

・ビタミンC誘導体

ビタミンCは肌に良いと昔からいわれますが、性質が水溶性であるために成分は壊れやすく、そのままでは肌への浸透は望めませんでした。そこで、肌への浸透を高めるために人工的に改良されたものがビタミンC誘導体ということになります。

 

ビタミンC誘導体という成分にすることで、「水溶性」、「油溶性」、「水溶性と油溶性」の3の性質の特色を分けて持つことが可能になりました。ビタミンC誘導体は肌から吸収された後のち、体内でビタミンCに戻って働いてくれる優れた成分なのです。3つそれぞれの違いを見てみましょう。

 

主に化粧水やローションタイプの化粧品に配合される「水溶性」:短時間で肌に吸収されやすく、即効性に長けています。

 

主に美容液や保湿クリーム、ジェル状タイプの化粧品などに配合される「油溶性」:とろみのあるエマルジョン状態で、持続性に長けています。

 

「水溶性と油溶性」:今話題のAPPS(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)、進化型ビタミンC誘導体とも呼ばれるもので、

最も肌の角質にまで浸透するとされ、浸透力はビタミンCの約100倍といわれています。

 

 

 

・メラニンの排出を促す成分

 

シミやそばかすがあるなら、それを除去するような美白化粧品を選ぶことも効果的でしょう。肌の細胞が生まれ変わる28日間のタイミング(ターンオーバー)を正すよう促したり、メラニンを含んだ古い角質細胞を除去したりする成分を意識して選ぶ必要がありそうです。メラニンの排出を促す成分の代表を見ていきましょう。

 

【肌のターンオーバーを促進させる成分】

 

・ビタミンA誘導体

レチノールはビタミンAのことをいい、化粧品に配合されている成分としてのビタミンAは、パルミチン酸レチノールが主流になっています。ビタミンA誘導体になるとその作用は約50倍~100倍もあるといわれ、抗酸化力はビタミンCよりはるかに上を行くともいわれるほどです。ビタミンC誘導体化粧水との相乗効果がよくいわれています。

 

・4MSK

資生堂が独自に開発した第三世代の美白成分といわれるもので、正式名は「4-メトキシサリチル酸カリウム塩」といいます。角質を軟化・溶解させるサリチル酸の誘導体です。 肌のターンオーバーを活性化することで慢性的な角質のエラーを改善し、メラニンの排出を促す作用があります。さらに、チロシナーゼの抑制にも力を発揮します。

 

・エナジーシグナルAMP(アデノシン一リン酸二ナトリウム OT)

大塚製薬が独自に開発した美白成分です。植物の若葉や球根、母乳にも含まれている成分ですから、低刺激で、肌の母細胞のエネルギー代謝を活発にし、ターンオーバーを促します。AMPは、35℃で浸透が高まるという実験結果が出ています。

 

【メラニンを含んだ古い角質細胞を除去する成分】

 

・AHA(アルファヒドロキシ酸)

別名:フルーツ酸とも呼ばれる、主にフルーツなどから抽出される酸の総称です。グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの種類が豊富で、これらで肌をピーリングすると、古い角質層の除去になりますから、ターンオーバーを助けていきます。ケミカルピーリング剤として、独自の配合によって皮膚科で処方されることもあるでしょう。保湿ケアを忘れないことです。

 

・プロテアーゼ

古い角質にはタンパク質が含まれています。タンパク質は複数のアミノ酸でつながっていますから、つながりを切ることによって分解していくことが可能です。プロテアーゼはタンパク質分解酵素になり、分解することで汚れや老廃物を除去することになります。洗顔からスキンケアまで幅広く使用されている酵素です。