化粧品の種類と分類

■化粧品とは

 

・化粧品の分類

 

化粧品と聞いて、思い浮かべることはメイク用品や基礎化粧品と呼んでいるものではないでしょうか。その他にも化粧品には種類があります。分類をしてみると、メイク用品、基礎化粧品、ヘアケア用品、香水、その他の化粧品に分類することができます。

 

メイク用品とは、その通り、装う化粧品のこと。ファンデーション、アイシャドウ、口紅、アイブロウ、ネイルケアなどが該当します。 基礎化粧品は、肌の調子を整える化粧品のこと。洗顔料、化粧水、乳液、美容液などが該当します。ヘアケア用品は、髪のための化粧品のこと。シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアトニック、ブローローション、育毛剤、ワックスなどが該当します。その他の化粧品は、日焼け止めクリームや乳液、シェービング関係の男性用の化粧品、ベビー用ローション、無添加・自然派の化粧品などが該当します。

 

また、形状で分類する方法もあるでしょう。液状、固形、パウダー、スプレー、色ものなどで分ける方法です。例えば、ファンデーションでも、パウダータイプや液状タイプがありますし、洗顔料でも、固形と液状などがありますし、日焼け止めも液状タイプやスプレータイプなどがあります。液状タイプの中でも、さらに、クリームタイプ、オイルタイプ、乳液タイプ、液体タイプなどに分類できます。

 

これらすべての分類は、薬事法という日本の法律によって、医薬品、化粧品医薬部外品、化粧品のどれかに該当するものでもあり、消費者が使用感や好みによって自分自身で選び、使用を決める選択権に通じることになりますから、選ぶ側も自覚と責任を持って選ぶようにしなければならないものでもあるでしょう。

 

 

・医薬品

 

薬と呼ばれるもので、病気やケガに対して効果・効能が認められたものだけになります。医師の処方箋で出される「医療用医薬品」と薬局などで市販されている「一般用医薬品」に部類され、一般用医薬品をさらに副作用のリスクで分けて、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」に分類しています。

 

 

・医薬部外品

 

効果・効能が認められたものという働きの点では薬と同じことになりますが、薬よりは作用が穏やかで、効き目というよりは予防の範疇だということになるのが医薬部外品です。医薬品と化粧品の中間のような性質を持っています。医薬品との違いは、薬剤師や登録販売者のいない店舗でも売買可能なことや、認証範囲内での効能が明記可能なことが特徴です。

 

医薬部外品には、医療用の器具類は含まれず、該当するものは薬用化粧品、指定医薬部外品、防除用医薬部外品、染毛剤、生理用品、パーマネント・ウェーブ剤、浴用剤、口中清涼剤やえき臭防止剤、あせもなどを防ぐてんか粉、育毛剤、除毛剤などになります。薬事法の改正で、以前は医薬品だったビタミン剤や尿素クリームなども加わりました。

 

 

・化粧品

 

日常的な使用を主として、健康な体を清潔に、美しく装うなど、美容目的を中心に使用される商品です。日常的な使用でも副作用が出ない分、必ずしも効果がある成分配合とはなっておらず、医薬部外品よりさらに効能・効果が緩やかな作用になっています。例を挙げると意外かもしれませんが、バスソルトや歯磨き粉なども化粧品の仲間になります。

 

そのため、医薬部外品では許容範囲となっている、「肌荒れが改善」、「にきびを防ぐ」、「皮膚の殺菌」などの効能・効果を謳うことはできず、広告表現でも使用することはできなくなっているのです。

 

法的に除外されるような強い配合成分は入っていないということで、「オーガニック化粧品」、「無添加化粧品」、「自然派化粧品」と謳っている化粧品もありますが、日本においてはどれも明確な定義が存在しないのが現状です。

 

 

■化粧品と旧表示指定成分

 

・旧薬事法とは

 

医薬品は元より、化粧品や医薬部外品などとも大きく関係している薬事法。薬事法の歴史をたどれば、1960年にできた法律で、時代や状況に応じて改正されながら、現在に至っています。

 

今では、2014年11月に薬事法という名称さえ改められていて、正式名称をいうと、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」となっています。名称が法律の中身を語っていて、“日本国内の医薬品や医療機器などの運用を定めている法律”なのです。これによって、薬事法という呼び名は過去の呼び名ということで、旧薬事法などといわれるようになっています。現在の法律名はとても長いですから、公式には「医薬品医療機器等法」と略されたり、「薬機法」と略されたりする場合もあります。

 

改正の目的としては、医薬品・医療機器の安全対策強化と再生医療等製品の実用化を促進することが挙げられます。製造販売業者に対し、最新の知見に基に作成した添付文書を厚生労働大臣に届け出る義務とウェブサイトに掲載する義務を企業に課したことと、これまで医療機関だけだった治療用の細胞培養を外部委託可能とした、規制緩和となったことの内容になっています。

 

 

・旧表示指定成分とは

 

表示指定成分に旧という言葉がつくということは、以前は表示指定成分という呼び名であった時代があったということです。表示指定成分が旧表示指定成分と呼ばれるようになった流れはこのようなことになります。

 

表示指定成分というのは、表示の指定が義務づけられている成分ということで、体質によってはアレルギーをはじめとした皮膚トラブルや、体内での異変を起こすかもしれない成分のことで、有毒性の危険が高い成分のことです。

 

1965年にまでさかのぼりますが、当時、化粧品による様々な体内外でのトラブルが多発していたために、厚生省(現厚生労働省)がこれらのトラブルを引き起こす可能性のある102種類の成分を1980年に告示し、さらに香料を加えた103種類が告示されたという経緯があります。これが表示指定成分です。

 

トラブルが多発していた当時は、化粧品の配合成分を表記する義務はありませんでしたが、表示指定成分の告示となってからは、2001年3月までに103種類の成分表示が義務づけられました。2001年4月からは、化粧品の全成分表示が義務づけられています。この全成分表示以前の表示成分が旧表示指定成分と呼ばれているのです。

 

今の全成分表示と旧表示指定成分時代とでは、同じ成分であっても名称が違うこともあり、消費者としては、よく調べてみることも重要なことになるでしょう。

 

 

・旧表示指定成分が配合されているのは避けた方がいい

 

昔の厚生省(現厚生労働省)が告示していた103種類の成分が旧表示指定成分と呼ばれていますが、人間の体内外でのトラブルを引き起こす可能性として挙げられた成分ですから、たとえ、直接体内に入らない商品に含まれているとしても、配合されていれば避けた方がいいということになります。

 

では、旧表示指定成分が配合されていなければ、安心・安全なのでしょうか。そういわれると、そうでもないのです。他の成分を考えてみると、即毒性を持たない石油合成成分(有害化学物質)というだけのことですから、決して安心・安全であるといっているのではないということです。

 

よく、無添加や自然派化粧品という表示を見かけないでしょうか。実は、即毒性を持たない石油合成成分(有害化学物質)を含んでいても、旧表示指定成分を含んでいないということで、無添加や自然と表示をしている化粧品ブランドも多くあるのです。そう考えると、「無添加や自然派表示でも、安心・安全ではない」、「情報を鵜呑みにしない」ということになるでしょう。