白斑てなに?メラニン色素は身体に必要な理由

■白斑とは

白斑という症状は、皮膚の色素が薄くなったり、白くなったりしてしまい、白い斑点ができる病気になります。何らかの原因によって、体内のメラニン色素を生成するメラノサイト細胞が減少するか、なくなってしまうことが起こっているのです。生まれついての先天性と、ある程度の大人になってから発症する後天性がありますので、それぞれの特徴と白斑トラブルを共に見ていきます。

 

・先天性

両親から子供、子供から孫へと、遺伝子の異常によって起こるもので、「先天性白斑」または「白皮症」といわれ、皮膚以外にも頭髪や眼の虹彩などにも異常が認められる合併症を伴うこともあり、難治性がつくと難病指定になります。必ずしも出生時から現れている場合だけではなく、数年後に現れる場合もありますが、出生から早期に現れることには違いありません。

 

・後天性

後天性白斑の正式病名は「尋常性白斑」といいます。一番の原因とされるのは自己免疫異常で、メラニン色素を生成するメラノサイト細胞を攻撃する抗体が増えたために、メラニン色素ができなくなってしまうのです。

それを引き起こすこととして考えられるのは、ケガ、火傷、日焼けなどによって、皮膚に相当なダメージがあったり、強いストレスがあったりした影響によるもの、あるいは薬品や化学物質による後遺症などが挙げられますが、明らかに証明される関係性がないことが多く、全容解明には至っていないことになります。

先天性、後天性、どちらを抱えているにしても、症状による精神的ストレスを軽減は重要です。専門機関への相談を早めに行いましょう。

 

・白斑トラブル

白斑トラブルで思い出されることとして、数年前に、ある美白化粧品を使用した約2万人の方が、白斑の症状になり、ニューズや裁判になったことがあります。該当する原因は、後天性の一つである「科学白斑」です。

約2万人の大まかな症状としては、美白化粧品の使用開始後2ヵ月~3年で、白斑の症状が出てくる方が増えていき、そのうち半数の方にはその前段階として、皮膚に赤みやかゆみがあり、残りの方は、特に無自覚で白斑が出たというもので、赤みやかゆみだけで留まった方も一部いたというものになります。

これだけの被害を出した教訓は、メーカーサイドが迅速な商品の販売中止や自主回収をするべきだったことはもちろんなのですが、美白化粧品を使用する女性たちの使用方法などの認識ももっと注意深くしければいけないということにあるのではないでしょうか。

 

 

■白斑が出た理由

・ロドデノールとは

白斑トラブルでさらに有名になってしまった美白化粧品の成分として配合されていたのが「ロドデノール」。すっかり悪者扱いですが、メラニン色素の生成を抑制する物質として、有名メーカーである化粧品会社が開発し、シミ・そばかすの予防効果のために、美白化粧品に配合されていたものです。

メシミ・そばかすの元にもなるメラニン色素が生成されることは、チロシン+ドーパ+チロシナーゼ(酵素)が結合することによるものですが、この中のチロシンに代ってロドデノールが入ったことで結合が変わりますので、メラニン色素が生成されることはなくなり、シミ・ソバカス予防の効果があるとされていたのです。

 

・白斑ができた理由

美白効果やシミ・ソバカス予防の効果のために、実験を重ねて年月をかけて開発されたロドデノールでしたが、約2万人(全体の約2%)もの方に白斑トラブルを生じさせてしまったことで、検証のために再度の実験がされていました。その原因は、配合されていた「ロドデノール」という美白成分にあると仮定はされていましたので、結果を確かめるための実験でした。

あのトラブルから約1年後に、培養細胞を使った実験の研究成果が出てわかったことは、細胞の中で別の物質(メチルクロマンジノン)に変化して細胞毒性が作られることがわかり、メラニン色素の元であるメラノサイト(色素形成細胞)の働き自体をなくしてしまっているのではないかということで、美白の刺激ではないということは推察されています。まだ、培養細胞を使った実験ですし、原因の全容が解明されたわけでもありませんから、断定的ではありませんが、ロドデノールが変化したことだけはいえるようです。

 

・白斑にならないために気を付けること

美白成分の一つとして配合されたロドデノールですが、最初から危険な成分だったわけでもなく、国から承認を受けた成分として化粧品に配合されたわけです。

開発された成分ではありますが、元々は植物にもある成分で、身近な成分ではありました。どんなものでも、基準を満たしていれば、出回ったとしてもおかしくはないでしょう。完璧な基準もないでしょうし、細胞や動物での実験段階から人間では実際どうなるのかはわからないこともあるでしょう。

ですから、どんな市販品にも完璧はなく、落とし穴はあるということです。1万、10万人が大丈夫だったとしても、1人に何か起こるかもしれない危険性は常にあるでしょう。そこを開発側と使用する側の双方で、忘れてはならないのです。